Q&A

よくあるご質問

製品に関するよくあるご質問をまとめました。

鉛電池一般

鉛蓄電池の原理(図解で解説)

放電時
鉛と希硫酸の化学変化にて電子(極性マイナス)が負極から正極に移動、化学変化により、極板は、硫酸鉛(PbSO4)、電解液は水(H2O)に近くなる

充電時
外部電源(充電器)から負極に電子が移動、化学変化により、硫酸鉛が鉛に、電解液は希硫酸に戻る

Ah(アンペアアワー)とは?

電池の容量の単位です
電流(A)と時間(h)を掛けた数値です、例)放電電流10A x 時間5h = 放電総容量50Ah

時間率容量とは?

鉛蓄電池の場合、5時間率容量、10時間率容量、20時間率容量があります
例えば、5時間率容量100Ahの場合は、100Ah÷5時間=20Aですので、20Aの電流を5時間流せる電池になります
サイクルサービス用、自動車エンジン始動用は5時間率
二輪車エンジン始動用は10時間率
制御弁式小型鉛電池は、20時間率(一部例外あり)

Whとは?

電圧x電流⁼電力量(W)に時間(h)を掛けた数値(電力容量)です
一般的にリチウムイオン電池は、時間率容量の観点が無いので、Wh表記があります

CCA、RCとは

CCA(コールドクランキングアンペア)とRC(リザーブキャパシティ)は、自動車のエンジン始動用電池の性能表記となります
CCA:-18℃の環境で負荷をかけて30秒後に7.2Vになる電流値
RC;満充電した蓄電池を25℃の環境で、25Aの電流を流した際に、端子電圧が10.5Vになるまでの時間
いずれも、数値が大きいほど、エンジン始動能力が高い事になります

公称電圧と端子電圧

鉛蓄電池の公称電圧は、セルあたり2Vです
自動車用など一般的な鉛電池は、6セルですので、公称電圧は、12Vとなります
実際には、満充電時12.8-13V、容量0%で12Vになります
端子電圧は、電池の端子部の電圧です
負荷電流を流すと、内部抵抗の影響で、端子電圧は低下します

放電終止電圧とは

DC12V40Ah(5時間率)で、40Ah ÷ 5Hr = 8Aで放電した場合、放電を停止する電圧は10.5V(メーカー資料による)となります
この場合、10.5Vまで5時間であれば、残能力容量は40Ah(100%)となり、4時間であれば32Ah(80%)の残容量となります
放電終止電圧は、放電電流により、変動しますので、メーカーの電池資料を確認してください

鉛電池の基礎

エンジン始動用バッテリーとサイクルバッテリーの違い

自動車のエンジン始動用バッテリーは、エンジン始動=セルモーター始動の短時間に大電流を流せる構造(極板)になっています
サイクルバッテリーは、長い時間をかけてモーターなど負荷に電流を流す構造(極板)です
エンジン始動用バッテリーを運搬車などサイクル用途に使用すると、短寿命になりますので、選定に注意が必要です

開放型(液式)とは

電槽が半透明で、電解液レベルが確認出来、液栓から精製水を補充する事が可能なバッテリーです
多くの自動車用エンジン始動用バッテリーの他、サイクル用途ではEB電池が該当します

制御弁式(VRLA)とは

VRLA(Valve Regulated Lead-Acid)、制御弁式鉛蓄電池は、電解液をAGM(グラスマット)に染み込ませたタイプ、あるいは電解液がゲル状のタイプがあります
ドライ、密閉型とも呼ばれ、電解液が漏れない「ポジションフリー」なバッテリーです
充電終期に内部でガスが発生し、内部の圧力が上昇すると制御弁から圧を逃がす構造になっています
ユーザーは、液補充の管理が不要になるメリットがありますが、専用の充電器で充電しないと電解液成分がガス化して外部に漏れて、性能低下の要因となりますので、注意が必要です

液比重とは

開放型のバッテリーは、電解液(希硫酸)の比重で管理する場合があります
満充電状態で、1.280(20℃)で管理され、放電すると1.0(水)に近づきます

成層化現象とは

開放型(液式)の充電時には、電槽の底の部分の電解液比重が高く、液上面の比重が低い状態になります
充電時にはガスを発生させ、電解液を攪拌して電解液を均一にする充電器が必要になります

従来型自動車バッテリーとアイドリングストップ車用バッテリーの違い

アイドリングストップ車の場合、頻繁にエンジン始動を行い、エンジン停止時には エアコンなどに電力供給を行う事から、従来バッテリーよりも「過酷」な動きとなります 燃費を良くするため、エンジンが始動しても常時充電を行わず、バッテリーの電圧低下(放電量)を監視して、充電を行う為、短時間で充電が出来るように充電受け入れ特性も向上しています

その為、従来型のバッテリーよりも、内部の極板が強化され、鉛を多く使用されている様子で、質量も重くなっています 例)従来型55B24 = 11.5kg アイドリング対応型N65/75B24 = 13kg  同じ電池サイズで、質量が重い事は、極板間の隙間が少ない事に繋がり、充電時の成層化現象が解消し難い事になりますので、従来型バッテリーよりも過激な充電が必要になります

充電制御の基礎

急速充電、普通充電とは

リチウムイオン電池の場合、電池容量(Ah)と同等の電流、あるいは、容量以上の電流で充電する場合があり、「急速充電」と呼ばれます
例として、10Ahの容量に対して、10Aで約1時間充電を指します
鉛電池の場合は、電池容量(Ah)の1/4~1/10の電流値で充電します
内部抵抗が大きい為、大電流で充電すると端子電圧が上昇してしまい満充電検出電圧になる事、急速充電に対応出来ない極板構造の為です
例として、50Ahの容量の場合、1/10の5Aから 1/4の12.5Aが適正な充電電流となります

定電圧充電とは

充電終期の端子電圧の上昇を制御して充電する方法
過電圧による性能低下が問題となる、制御弁式(VRLA) 及び、リチウムイオン電池に対して有効な充電方式となります

トリクル充電とフロート充電とは

いずれも鉛電池を満充電状態に保つ充電方式です
自動車・二輪車のように負荷(エンジン)を使用していない状態で維持する方法がトリクル充電です
電池の自己放電、負荷への暗電流分を補う充電となります
通信設備の非常用電池のように、常時負荷に電力供給しながら、維持する方法をフロート充電としています

自己放電とは

鉛電池を構成する鉛合金には、不純物が混入しており、その影響で長期間電池を放置した場合に、電池容量が低下します
一部のリチウムイオン電池の場合、電池内部の制御回路(Battery Management System=BMS)が消費し、未使用期間に電池容量が低下する電池があります

サルフェーションとは

鉛電池が放電した状態では、希硫酸の硫酸成分が鉛極板に付着し、充電せずに放置すると「硫酸鉛」として固体化します
硫酸鉛は、電気を通さない物質ですので、電池容量の低下・劣化となります
二輪車用充電器の中には、高電圧を印加しサルフェーションを除去する機能(リフレッシュ機能)の充電器があります
但し、一旦サルフェーションになった鉛電池は、完全には元に戻りませんので、交換が必要となる場合があります

リチウムイオン電池 一般

リチウムイオン電池の原理(図解で解説)

有機電解液内部をリチウムイオンが移動する事で蓄電池として機能します

放電時
負極のリチウムイオン(極性プラス)が正極に移動、電子(極性マイナス)が負極から正極に移動
(電子の動きと電流の向きは逆となります)

充電時
外部電源(充電器)から負極に電子が移動
正極のリチウムイオンが負極に移動

リチウムイオン電池の種類

コバルト系リチウムイオン電池

コバルト酸リチウム(LiCoO2)を正極に用いた電池、コバルトが高価である事、熱暴走の危険度が高い事からあまり使用されていない

ニッケル系リチウムイオン電池

ニッケル酸リチウム(LiNiO2)を正極に用いた電池、高容量であるが、安全性に問題があり、実用化されていない

マンガン系リチウムイオン電池

マンガン酸リチウム(LiMn2O4)を正極材量に用いた電池、エネルギー密度は低いが、安全性が高く、EV車に採用されている

三元系リチウムイオン電池

コバルト・ニッケル・マンガン〔Li(Ni-Mn-Co)O2〕を用いた電池、コバルト系の安全性を高めた電池、低温時の放電特性も優れており、EV車に採用されている

NCA系リチウムイオン電池

NCA系税量〔Li(Ni-Co-Al)O2〕は、ニッケル、コバルト、アルミを用いた電池、エネルギー密度が高く 一部のEV車に採用されている

チタン酸系リチウムイオン電池

リチウム電池の負極は黒鉛が一般的であるが、負極にチタン酸リチウムを使用している、長寿命、急速充電に優れているが、セル電圧2.4Vとエネルギー密度は低い

リチウムポリマー系リチウムイオン電池

電解質にポリマーを加えてゲル化した電池、質量が軽いメリットがあり、ドローンなどに採用されている

リン酸鉄系リチウムイオン電池

リン酸鉄系(LiFePO4)を正極に用いた電池、安全性が高く、長寿命で、原材料も安価であるが、セル電圧が 他(3.6-3.7V)と比較し低い(3-3.2V)

4セルを直列にしたパッケージが鉛電池の電圧範囲内(12.8V)の為、鉛電池の置換で採用されている

リチウムイオン電池の基礎

リチウムイオンの安全性

正極と負極がショートすると発熱・発火の原因となる
ショートする要因としては、製造上の微細な金属片などが混入し、繰り返し使用する事で電極の膨張・収縮が発生し、その際にセパレーターを突き破りショートに至るケースがある

また、電池を構成している材料が、デンドライト(針状結晶)となり、セパレータを突き破りショートするケースがある
電池は進化しており、異物混入の防止、検出精度向上、デンドライトし難い設計となっている

リチウムイオンの過充電

100%容量を超える充電を行う事を過充電とします
過充電を行うと正極から許容量を上回るリチウムイオンを放出し、電池内部の状態が不安定になり、劣化が進行します

リチウムイオンの過放電

0%以上に電流を流す事を過放電とします
過放電を行うと、電池を構成している金属が溶けだして、最悪は使用出来なくなります

三元系リチウムイオン電池

コバルト・ニッケル・マンガン〔Li(Ni-Mn-Co)O2〕を用いた電池、コバルト系の安全性を高めた電池、低温時の放電特性も優れており、EV車に採用されている

BMSとは

BMS(Battery Management System)の略です
過放電・過充電を防止する為、電池内部のセルを監視し、危険領域になる前に、充電・放電を停止する保護機能が組み込まれています
セル温度も監視し、異常温度上昇時には、充放電を停止する機能もあります
(BMSが内蔵されていない場合もありますので、事前に確認する必要があります)

リチウムイオン電池の寿命は

サイクル寿命とは、放電⇔充電を繰り返す回数です
鉛蓄電池は、50%⇔100%で使用した場合、300~500回ですが、一般的なリチウムイオン電池は、0%⇔100%で3000回、リン酸鉄リチウム電池の場合5000~10000回
寿命を延ばす為に、放電後は、充電して保管する事をお勧めします

使用温度範囲

一般的なリチウムイオン電池は、10℃~40℃です
電池によっては、マイナス領域での使用も可能ですが、低温時は化学反応が鈍るので、必要な電力が取り出せない可能性があります

リン酸鉄リチウムイオンの充電制御

過充電を防止する為、末期定電圧充電を行います
電池メーカー(セル・BMS仕様)が異なると、充電制御(充電電圧、タイマー時間)も異なります